AIコラム
SHIFTではAIの徹底活用を掲げ、社内でさまざまな取り組みを行っています!
今回は「AIと歩む未来を考える」シリーズ第二弾、AIと倫理について考えていきたいと思います。

人工知能(AI)の急速な発展は、私たちの生活や社会構造に大きな影響を与えています。AIは医療、交通、教育、エンターテインメントなど、さまざまな分野で活用されており、その利便性は計り知れません。しかし、AIの進化に伴い、倫理的な問題や道徳的ジレンマも浮上しています。本レポートでは、AIと倫理に関する主要な課題を考察し、未来の技術における道徳的ジレンマについて探ります。
AIの倫理的課題は多岐にわたりますが、以下の3つの主要なテーマに焦点を当てます。
AIシステムは、訓練データに基づいて学習します。そのため、データに含まれるバイアスがAIの判断に影響を与えることがあります。例えば、顔認識技術が特定の人種や性別に対して不公平な結果をもたらすことが報告されています。このようなバイアスは、社会的不平等を助長する可能性があり、倫理的な問題を引き起こします
AI技術の進化により、個人情報の収集と分析が容易になりました。これにより、プライバシーの侵害や監視社会の懸念が高まっています。特に、顔認識技術や行動追跡技術は、個人の自由を脅かす可能性があります。倫理的には、個人のプライバシーを尊重しつつ、技術の利便性をどう両立させるかが課題です。
自律型AI(例:自動運転車やドローン)は、判断を自ら行う能力をもっています。しかし、事故やトラブルが発生した場合、誰が責任を負うのかという問題が生じます。AIの判断が人間の生命や財産に影響を与える場合、その倫理的責任をどのように定義するかは重要な課題です。
AI技術の進化に伴い、具体的な道徳的ジレンマが現れています。以下にいくつかの事例を挙げます。
自動運転車が事故を避けるために、乗員と歩行者のどちらを優先するかという選択を迫られることがあります。この場合、どのような基準で判断すべきかは倫理的なジレンマを引き起こします。例えば、乗員の命を守るべきか、無関係な歩行者を守るべきかという問題です。
AIが医療診断を行う際、患者のデータに基づいて治療法を提案します。しかし、AIが提案する治療法が患者の希望や価値観と合致しない場合、医療従事者はどのように判断すべきかというジレンマが生じます。
AIと倫理に関する課題を解決するためには、倫理的な枠組みを構築することが重要です。以下のアプローチが考えられます。
AIの開発者や企業は、倫理ガイドラインを策定し、バイアスの排除やプライバシーの保護に努める必要があります。国際的な基準を設けることで、AI技術の公平性と透明性を確保することが求められます。
AI技術の利用者や開発者に対して、倫理教育を行うことが重要です。AIの影響を理解し、倫理的な判断を行う能力を育成することで、道徳的ジレンマに対処できる人材を育てることができます。
AIと倫理に関する問題は、技術者だけでなく、社会全体で考えるべき課題です。市民、専門家、政策立案者が参加する対話の場を設けることで、多様な視点を取り入れた解決策を模索することができます。
AIの進化は、私たちの生活を豊かにする一方で、倫理的な課題や道徳的ジレンマをもたらしています。これらの問題に対処するためには、倫理的な枠組みを構築し、教育や対話を通じて社会全体で考えることが重要です。未来の技術が人間社会にとって有益であるためには、倫理的な視点をつねに持ち続ける必要があります。AIと共に歩む未来を考える際には、技術の進化だけでなく、その背後にある倫理的な問題にも目を向けることが求められます。

著者:皆川 依璃
(みなえり)
株式会社SHIFT「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト
主にローコード・ノーコードの分野にてシステムエンジニアとして6年間従事。RPAやMicrosoft Power Platformの開発実績だけでなく研修講師としてサービスの立ち上げから実施、運営まで担当。大手、中小問わず多数の研修をこなす。プロジェクトリーダー経験を活かし、講師の育成や体制・プロジェクト管理など幅広く携わる。また、大手人材会社の新人教育も担当。「初心者に寄り添うわかりやすい研修」がモットー。
車で日本一周する行動力と空手で培った忍耐力、芸術活動で身につけた表現力を武器に社内外問わず積極的に活動している。
2025年、株式会社SHIFTに入社。研修講師の他、ヒンシツ大学の広報活動にも積極的に従事中。