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ヒンシツ大学 林せんせいのAI研!③ ~良いものから学ぶって、とても自然なことですよね~

AIコラム

 

何か新しいことを始めるとき、「参考になりそうな良い例はないかな」って探すことがありませんか。料理をするときにレシピを見たり、音楽を作るときに好きなアーティストの楽曲を聞いたり。そんなふうに、優れたものから学ぼうとするのは、とても自然な学習プロセスだと思います。

みんなが悩むところ

でも、いざ「参考にしよう」と思うと、ちょっと困ってしまうことがありますよね。「これってただのコピーになってしまわないかな」「どこまで参考にしていいんだろう」って。

私も最初はそんなふうに感じていました。優れた論文や報告書を見て「すごいな、こんなふうに書けたらいいな」と思いながらも、どうやって自分の仕事に活かしたらいいのか、よくわからなかったんです。


楽曲の分析から気づいたこと

音楽をやっていた頃の話なんですが、好きなバンドの楽曲を分析していて、面白いことに気づきました。表面的にメロディーをコピーするのではなく、「なぜこの楽曲が心に響くのか」「どんな構成になっているのか」「どういうハーモニーの使い方をしているのか」を理解すると、全然違う楽曲を作るときにも活かせるということでした。

つまり、形ではなく「本質的な構造」を学ぶということでしょうか。


そっと分解して、理解してみる

そう考えると、優れた成果物を活用するときも同じかもしれません。例えば、素晴らしい論文があったとして、それをただ真似するのではなく、「なぜこの論文は読みやすいんだろう」「どんな構成になっているんだろう」「どういう論理展開をしているんだろう」と、そっと分解して理解してみる。

そして、「新規性はどう示されているか」「論理性はどう表現されているか」「実証はどのように行われているか」といった評価の観点を見つけていく。そんなプロセスが大切なのかなと思います。


一緒に作り上げていく感覚

最近は、こうやって抽出した「良さの要素」を、AIと一緒に新しいコンテンツ作りに活かしています。「この論文のような論理展開で」「あの報告書のような構成で」「でも内容は全く新しいテーマで」といったふうに。

AIに「この観点で評価してみて」とお願いしたり、「こういう特徴を持った文章を書いてみて」と相談したり。まるで、経験豊富な先輩と一緒に仕事をしているような感覚でしょうか。

 

自分の文章からも学んでみませんか

実は、他の人の成果物だけでなく、自分が過去に書いた文章からも学べることがたくさんあるんです。「昔書いた文章を見返すのって、ちょっと恥ずかしい」って思うかもしれませんが、意外と面白い発見があります。

「あ、この時の文章、なんだか読みやすいな」「この説明の仕方、うまくいってるかも」。そんなふうに、自分なりの「良いパターン」を見つけられることがあります。それを分析して、「なぜこの文章は伝わりやすいんだろう」「どんな構成になっているんだろう」と理解できれば、次に書く文章にも活かせますよね。


実際にやってみるとしたら

もし興味を持たれたら、こんなふうに始めてみてはいかがでしょうか。

まず、手元にある優れた成果物(他の人のものでも、自分のものでも)を2〜3つ集めてみます。そして、AIに「この文章の良いところを分析してください」とお願いしてみる。でも、ここが面白いところなんですが、どんな視点で分析してもらうかは、やっぱり自分で決めることになるんです。

「読みやすさの観点から」「説得力の観点から」「親しみやすさの観点から」など、自分が大切にしたい価値観やこだわりを込めて指示を出していく。この指示の仕方に、実は自分らしさがとても現れるんだと思います。

次に、AIに分析結果をまとめてもらって、「評価の観点」として整理してもらいます。ここでも「私が重視したいのは○○です」「特に××の部分を詳しく見てください」と、自分の視点を伝えていく。

そして、新しい文章を書くときに、その評価観点を使ってAIと協働する。「こういう特徴を持った文章を書いてください」「私の価値観である○○を大切にして」と具体的にお願いしてみる。


実は、とてもオリジナルなんです

このプロセス全体を通して気づいたのは、こうやって作ったものって、実はとてもオリジナリティがあるということです。

確かに分析も、まとめも、文章の生成も、AIにお願いしています。でも、「何を分析するか」「どんな視点で見るか」「何を重視するか」「最終的にどんな方向に仕上げるか」。そういった一つひとつの判断に、自分の価値観やこだわりが込められているんですね。

まるで、オーケストラの指揮をするときのような感じでしょうか。楽器を演奏するのは演奏者たちですが、どんな音楽を作り上げるかは指揮者の視点や価値観によって決まる。そんなふうに、AIとの協働で生まれた成果物にも、しっかりと自分らしさが宿っているんだと思います。

完璧を求めすぎず、「今回はこの観点を意識してみよう」くらいの気持ちで、少しずつ試していけばいいのかなと思います。


いろんな場面で活用できそう

この考え方って、論文だけじゃなくて、いろんな場面で使えそうです。プレゼン資料を作るときも、プログラムを書くときも、教材を作るときも。「なぜこれが良いのか」を理解して、その本質を新しい創作に活かしていく。

単なるコピーではなく、優れたものの構造や思想を学んで、自分なりの新しい価値を生み出していく。そんなアプローチができたら、きっと今までより豊かな成果物が作れるはずです。


学びと創造の循環

考えてみると、これって人間が昔からやってきたことなのかもしれませんね。先人の知恵を学び、それを自分なりに発展させて、また次の世代に伝えていく。そんな学びと創造の循環の中に、私たちも参加しているということでしょうか。

AIという新しいパートナーを得た今、この循環がもっと豊かに、もっと創造的になっていく。そんな未来が、なんだかとても楽しみです。




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著者:林 栄一
   (林せんせい)

株式会社SHIFT「ヒンシツ大学」クオリティ エヴァンジェリスト

組織活性化や人材開発において豊富な経験を持つ専門家として、人材と組織開発のリーダーを務め、その後、生成AIを中心にスキルを再構築し、現在新人研修プログラムや生成AI講座開発を担当している。2008年にスクラムマスター資格を取得し、コミュニティーを通じてアジャイルの普及に貢献。勉強会やカンファレンス、最近では生成AI関連のイベントに多数登壇している。チームワークの価値を重んじ、社会にチームでの喜びを広める使命をもつ。